基本方針

歯科領域における感染制御・防御

歯科領域で特に問題となる病原微生物には、HBV(B型肝炎ウイルス)・HCV(C型肝炎ウイルス)・ HIV(ヒト免疫不全ウイルス)などがあります。

歯科領域では外科的処置が多く、歯科医療従事者はタービンによる切削や超音波スケーラーの使用などによって患者の血液や血液・膿が混入した唾液などの感染性物質に触れることや飛沫を浴びる危険性が常にあります。

さらに、治療に使用する多くの医療器具は患者の口腔内の感染性物質に触れるため、医療従事者・患者ともに感染のリスクが高く、外来患者の感染症検査を実施することは稀で、問診では自覚症状のないHIV・HBV・HCVなどの感染症患者を見過ごすことがあるため、歯科領域では一般の医療施設以上に感染対策が要求されています。

感染予防を実施するために、日頃から手指消毒や手洗い等の手指衛生の遵守、個人防護具の着用、適切な医療器具の再生処理、環境衛生などの基本的な感染対策を徹底することが重要となります。

スタンダードプリコーション

標準予防策:スタンダードプリコーション(Standard Precaution)

標準予防策とは、感染症の有無や病態に関わらず、すべての患者に適用される感染対策のことで、湿性 生体物質(血液や体液、汗を除く分泌物、排泄物、損傷のある皮膚、粘膜)は病原体を含んでいる可能 性が高いため、常に感染の可能性があるとみなして対応する方法です。

これは、「感染が問題となる微生物にはウィンドウ期(潜伏期間)が存在する」、「湿性生体物質には 未知の病原体が存在する可能性がある」という考え方をもとに1996 年にCDC(米国疾病管理予防センター)が提唱した概念です。

使用済み器材は湿性生体物質で汚染されているため、当然、標準予防策の対象となります。特に洗浄・消毒・滅菌エリアに返却された器材は、どのような患者に使用されたのか、どのような汚染物が付着しているのか不明なことが多く、これらの器材の不適切な取り扱いによる血液・体液曝露や針刺し・切創などの職業感染の防止策としてすべての使用済み器材は標準予防策に基づく取り扱いが必要となります。

 

※歯科感染管理者検定試験テキストより引用
歯科感染管理者検定試験テキスト著者:島崎 豊氏 監修:梅本 俊夫氏 上西 秀則氏 今井 裕氏