JAOS認定・総合診療歯科医取得コース（第12回）感染・免疫学②（歯周病・口腔細菌学）

浜田信城先生
口腔感染症と静菌義歯について―
口腔内には、多種多様な細菌が共生しており、これらの細菌の集合体を細菌叢と呼びます。細菌叢には、口腔内の健康を維持する役割を果たす構成細菌と、歯周病や口臭などの病気の原因となる病原細菌が含まれています。これまでの細菌学的研究により、個々の細菌叢や構成細菌の病原性は、さまざまな要因によって異なることが明らかになっています。
細菌は、細胞壁の構造の違いによって、グラム陽性細菌とグラム陰性細菌に分類されます。グラム染色法は、1884 年にデンマークの医師グラム（Hans C. Gram）によって開発された、細菌を2種類に染め分ける細菌分類学の基礎となる重要な染色法です。興味深いことに、歯周病原細菌の多くは、細胞壁が薄いグラム陰性細菌に属しています。
歯周病の原因となる細菌の一種であるPorphyromonas gingivalis（ポルフィロモナス・ジンジバリス）は、偏性嫌気性グラム陰性細菌で、酸素が少ない環境で増殖し、細胞壁が薄く、多くの病原因子を持っていることが報告されています。 この細菌の病原性を抑制する方法や口腔環境の健全化に役立てる方法を探求してきました。その中で、特殊加工された酸化亜鉛「アドックス社 AD-PSJ」に注目し、細胞壁が薄いグラム陰性細菌を選択的に減少させることや口臭抑制効果のあることが明らかになりました。現在、AD-PSJを含む義歯やナイトガードを用いることで、歯周病原細菌の減少と口臭予防効果を実現することができます。
本講演では、口腔内に存在する細菌の種類や特徴と病原性と「静菌義歯」や「静菌マウスピース」の有効性についてご紹介したいと思います。
＊静菌義歯については、以下のウェブサイトで報告しています。
【JAOS】NPO法人 日本・アジア口腔保健支援機構
静菌義歯報告会ダイジェスト版

＊「くさくならない入れ歯」を細菌学者が開発 口臭や誤嚥性肺炎の予防に期待！
細菌の増殖を抑える静菌義歯　AERAdot.

時間割
9:00-12:30：オンラインセミナー感染・免疫学②
講師：齋藤淳先生
口腔感染症と静菌義歯について―
講師：浜田信城先生
12:35～13:00：ディスカッション
座長：渡辺 秀司先生 特定非営利活動法人日本・アジア口腔保健支援機構理事長

■特記事項

①オンライン受講は午前講義のみ
※現地受講は午後講義あり
②現地受講者で症例相談を希望の場合は事前資料提出のこと
※簡単な問診表を送付、返信していただきます。
③テキスト配布について
・総合診療歯科医取得コースの通年申込をされている方
・会場受講の方
・オンデマンド研修会員に登録されている方
上記、いずれかの条件を満たしている方にテキストを配布いたします。
オンライン単回受講の場合にはテキストの配布はございませんので予めご了承ください。